第10章
サーキットの観客席は熱気に満ち、練習走行だというのに、ファンたちは驚くほどの熱狂ぶりを見せていた。
私は橘純司が残してくれたスタンドのチケットを手に、ごった返す人混みを抜けていく。彼はチケットをくれただけでなく、スタッフを手配して、一般の観客では入れないエリアへと案内してくれた。
「葵野様、こちらへどうぞ」
サーキットのユニフォームをまとった若い女性スタッフが軽くお辞儀をし、私を最高の観戦スポットへと導いてくれる。
私は最前列に腰を下ろした。周りは満席だ。
レーシングカーの咆哮が鈴鹿サーキット全体に響き渡り、エンジンの轟音が私の胸の内で震える。
星野澪が駆るマシンがス...
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2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
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9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章 番外
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