第109章

西園寺財閥、オフィスの一室にて。

白川亜希は片手で資料を強く握り締め、もう片方の手でスマートフォンを弄びながら、疑心暗鬼の表情を浮かべていた。

西園寺玲央が会社に姿を見せなくなって、すでに三日が経過している。仕事にかこつけて電話をかけても、応答するのは決まって特任秘書だった。

それとなく探りを入れても、秘書は言葉を濁すばかり。「社長は重要案件の対応中です」の一点張りだ。

そう思うと、亜希の瞳に暗い色が宿る。

重要案件があるからといって、数日も会社を空けるなど、仕事人間の西園寺玲央にはありえないことだ。

それに、もし本当に仕事上の案件なら、秘書が自分に詳細を隠す理由がないではないか...

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