第123章

「後ろ、危ない!」

 橘詩織は心臓が口から飛び出しそうなほどの恐怖に駆られ、悲鳴のような声を上げた。

 木の棒が頭上に振り下ろされようとした、その刹那。

 西園寺玲央は猛然と身を翻し、鮮やかな回し蹴りを放った。重く、鋭い一撃が、グレーのジャケットを着た男の胸板に深々と突き刺さる。

 男はうめき声ひとつ上げることなく吹き飛び、路地裏のゴミ山へと突っ込んだまま動かなくなった。

 瞬く間に、二人の暴漢は沈黙した。

 路地裏に静寂が戻り、ただ橘詩織の荒い息遣いだけが響いている。

 西園寺玲央は二人を無力化したことを確認すると、即座に踵を返し、大股で橘詩織のもとへ歩み寄った。

 先ほど...

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