第148章

霧島湊は、チンピラ二人の喚き声など意に介さず、その視線を彼らの背後に向けた。そこには挟み撃ちにされ、青ざめた顔で気丈に振る舞う橘詩織の姿があった。

彼の色素の薄い瞳が一段と暗くなり、底知れぬ冷気が走る。

迷いなく長い脚を踏み出し、彼らの方へと歩み寄った。

その足取りは落ち着いていたが、目に見えない威圧感を纏っている。

「最後にもう一度だけ言う」

霧島湊の声量は決して大きくはない。だが、そこには絶対的な威厳が込められていた。

「失せろ」

小太りの男はその気迫に呑まれ、無意識に半歩後ずさる。

一方、背の高い男は相棒の手前、引くに引けなかった。相手が一人だと見て取ると、虚勢を張って...

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