第157章

西園寺玲央はその場に立ち尽くし、明らかに拒絶の意志を示している橘詩織の横顔を見つめながら、胸の奥に重苦しいものを感じていた。

得体の知れない怒りと、言葉にできない鬱屈が混じり合い、胸中を渦巻いている。

「前に乗れ」

垂らした手を強く握り締め、低く、拒否を許さない命令口調で告げる。

橘詩織は瞼一つ動かさず、平坦な声で応じた。

「そこは他人の席でしょう。私は後ろでいいわ」

「橘詩織!」

西園寺玲央の声が荒らげられる。道中抑え込んでいた怒りと、無視されたことへの敗北感が一気に噴き出し、瞳に激情が宿る。

「もう一度言う。そこは助手席だ。誰かの席なんかじゃない。こっちへ来い」

橘詩織...

ログインして続きを読む