第140章 手伝ってほしい

「危ない!」

 一条星夜は素早く反応し、短く注意を促すと同時に長い腕を伸ばした。橘凛の肩を抱き寄せ、瞬時に自分の懐へと引き入れ、その身をしっかりと守り抜く。

 ぶつかってきた男子生徒も驚いた様子で、慌てて頭を下げた。

「すみません、すみません! 見てなくて!」

 言うが早いか、男はそのまま駆け去っていった。

 不意に温かく逞しい胸に抱き留められた橘凛の鼻先を、清冽で心地よい男の香りが掠める。微かなアフターシェーブローションの匂いが混じっていた。

 薄い衣服越しに伝わる掌の熱が、肩の素肌に焼きつくようで、説明のつかない戦慄が走る。

 心臓がドクリと音を立て、頬が勝手に熱を帯びてい...

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