第158章 無念と絶望

橘凛は歩みを緩めることすらしなかった。

リビングに集う面々を冷ややかな眼差しで一瞥しただけで、この夫婦の来訪目的を完全に理解したからだ。

その表情には驚きの欠片もない。まるで、どうでもいい羽虫でも視界に入ったかのような無関心さで、彼女は階段へと直進する。挨拶はおろか、立ち止まる素振りさえ見せない。

だが、藁にもすがる思いの如月海の両親が、最後の頼みの綱をそう易々と逃がすはずもなかった。

如月貴史と如月牧子は、ソファから弾かれたように飛び起きると、もつれる足取りで階段の登り口へと殺到し、凛の行く手を遮った。

如月牧子はもはや体裁など構っていられなかった。涙声で、枯れた喉を振り絞るよう...

ログインして続きを読む