第168章 あなたは私のアイドル

「バンッ、という乾いた音がして、一番近くにいた奴の肩を撃ち抜いたの。あいつら、全員凍り付いてたわ」

彼女は手を下ろすと、その口調に微かな、しかし明らかな自嘲を滲ませて言った。

「私、こういう才能があったみたい。それに……気に入ったのよ。力を支配する感覚が。誰かに生殺与奪の権を握られるんじゃなく、自分の生死を自分で決める。その感覚がね」

「その後、混乱に乗じて逃げ出したわ。公衆電話から匿名で通報して、連中のアジトを警察に教えた。……でも、あの一丁の拳銃だけは渡さなかった」

ここで橘凛の瞳に、透き通るような鋭さと冷徹さが戻る。

「家に帰って、お婆ちゃんには内緒で隠し持った。それ...

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