第175章 何かがおかしい

橘健吾は、足早に去っていく彼女の背中を見つめながら、眉根を寄せた。

今日、彼女は何かがおかしかった。だが、具体的にどこがどうと言えない違和感が、胸のつかえとなって残った。

一方、橘凛はスポーツカーのエンジンを咆哮させ、再び車の流れへと合流していた。

目指す先は一条家の別邸。

これから彼女が対峙するのは、信頼と協力、そして過去の因縁を賭けた、逃れられぬ正念場だ。

一条家の別邸、そのリビングルームには柔らかな光が満ちていたが、空気は張り詰め、まるで嵐の前の静けさを漂わせていた。

一条星夜はソファに一人沈み込み、指には火のついていない煙草が挟まれている。

虚空を射抜くその瞳は深く、眉...

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