第253章 なぜ彼女を責めるのか

電話の向こうから慌ただしい足音が聞こえ、橘健吾の落ち着き払った、それでいて怒りを滲ませた声が響く。

「俺も一緒に行く!」

三十分もしないうちに、警察署の入り口に二つの人影が駆け込んできた。貝本直紀と橘健吾である。

貝本直紀は中に入るなり、焦燥感も露わに視線を彷徨わせた。無傷の橘凛の姿を認めるや否や、小走りで駆け寄る。彼女の腕を両手でがっしりと掴み、上から下まで穴のあくほど見回しながら矢継ぎ早に問い詰めた。

「凛! 大丈夫!? 怪我はない? もう、本当に心臓が止まるかと思ったんだから!」

その顔には、心からの安堵と後から込み上げてきた恐怖が色濃く浮かんでいる。

「大丈夫、怪我一つな...

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