第55章 君をある場所へ連れて行く

翌朝――と言っても早朝ではなく、時計の針が9時を指したころ。

千葉椿は羽鳥紅蓮に半ば強引に起こされ、そのまま抱きかかえられて洗面所へ連れていかれた。歯ブラシには、すでに歯磨き粉まで絞ってある。

椿は訳がわからないまま彼を見上げる。

「……今日、どうしたの?」

「別に。いいから早く磨け」

急かされるまま歯を磨き終えると、今度は洗顔料やタオルまできっちり用意されていた。

ますます怪しい。椿は眉をひそめる。

「ねえ、今日いったい何があるの? 急に優しすぎない?」

紅蓮はふっと笑った。

「優しくしちゃダメ?」

「そういうの、絶対なんかあるでしょ。言いなさい。何企んでるの」

紅蓮...

ログインして続きを読む