第67章 行くな

木下莉は不機嫌そうに木下燦をひと睨みした。けれど同時に、弁護士が千葉椿を呼び出した理由が気になって仕方ない。

それから三十分ほどして千葉椿が戻ってくると、木下莉はすかさず腕を掴み、こそこそ声で訊いた。

「ねえ千葉、土方先生に何の用だったの?」

千葉椿はぱちりと瞬きをして、肩をすくめる。

「別に。家のこと」

「家のことなら、なんで会社まで来るのよ?」

その好奇心の圧に、千葉椿は小さくため息をついた。

「ほら、仕事。勤務中は私事禁止」

たった一言で、木下莉は言い返せなくなる。

けれど噂話というのは、隠されるほど知りたくなるものだ。勤務中がだめなら、昼休みがある。

案の定、まだ...

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