第80章 離間

羽鳥紅蓮の顔色は、さらに真っ黒に沈んだ。

「今すぐ水野しきの携帯を位置特定しろ。いまどこにいるのか、はっきりさせたい」

「承知しました」

通話を切った瞬間、エレベーターはちょうど地下1階の駐車場に到着した。

羽鳥紅蓮はそのまま、水野しきへかけ直す。

相手は妙に早く出た。

「レン……」

「水野しき。俺の妻をどこへ連れて行った」

羽鳥紅蓮の声は、氷みたいに冷たかった。

その言葉を聞いた水野しきの胸は、きゅっと痛んだ。けれど口から出たのは、まるで別の感情だった。

「レン、いま千葉嬢に、私たちの昔のことを話してるの」

柔らかく微笑む頬には、怪しいほどの赤みが差している。まるで恋...

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