第90章 寺内鈴の処置

羽鳥紅蓮は玉城三吾にちらりと視線を投げた。

玉城三吾は即座に意図を汲み取り、羽鳥国隆の身体を支えながら医師に合図する。羽鳥国隆はそのまま病室へ運ばれ、処置が始まった。

あの耳障りな喚き声が消えただけで、空気がふっと軽くなった気がした。

一方、坂東美珍は相変わらず泣き続け、涙と鼻声で羽鳥紅蓮に縋りつく。けれど羽鳥紅蓮の表情は微塵も動かない。

そして寺内世蔵は、この一連の“見世物”を最後まで見届けたことで、ようやく確信した。

寺内鈴は――自分の実の娘ではない。

胸の奥に冷たいものが一気に広がる。

他人の子を三十年近く育てさせられ、挙げ句の果てには寺内グループまで潰されかけた。だが、...

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