第4章
瀬川穂乃視点
私はナイフを振り上げ、修平の心臓をめがけて突き刺した。
彼は寸でのところで身をかわし、その瞳孔が見開かれる。刃は彼の腕を掠めただけだったが、白いシャツにはすぐに血が滲んだ。
客たちの悲鳴が上がり、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
「穂乃!正気か!」
私の攻撃を避けながら修平が叫ぶ。
「正気よ!」
私は半狂乱でナイフを振り回し続けた。
「全部思い出したの!あなたが葬り去った、すべての真実を!」
感情的に崩れ落ちた私を、彼は押さえつけ、ナイフを奪い取るとその両手を強く握りしめた。
「記憶が戻ったのか?穂乃、話を聞いてくれ。君を騙していたことには怒...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
縮小
拡大
