第8章

瀬川穂乃視点

翌朝。

私は何事もなかったかのように振る舞い、柏木律には優しく、思いやりのある態度を保ち続けた。

「おはよう、律」

私は自ら彼の頬にキスをした。

「昨日はとてもよく眠れたわ」

「僕もだよ」

柏木律は優しく応えた。

「今日の気分はどう?」

「最高よ」

私は自分のお腹を撫でた。

「お腹の子も、いい子にしてる」

「それは良かった」

彼は立ち上がった。

「少し仕事の用事があるんだ。家でゆっくり休んでいてくれ」

これこそ、私が待ち望んでいた好機だった。

「お仕事、行ってらっしゃい。どこにも行かないから」

私は従順に言った。

柏木律は...

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