第12章

そのとき、神崎吉弥と神崎家の兄弟たちは、紬のベッドをぐるりと囲んでいた。

眠ったまま「ママ……」と呼ぶたび、誰もが目の奥を赤くする。

だが彼らには見えない。

紬のすぐ傍らに、もうひとり――蒼海がいることを。

蒼海は紬の額にそっと掌を当て、続けて手首の赤い紐に指先で触れた。

しばらくして。

紬の唇が、ほんの少しだけ弧を描く。

「……なあ。これで師匠は、お前の母親に借りを作らずに済んだ」

機体は清原国際空港へ着陸した。

紬がまだ眠っているのを確認すると、神崎吉弥が目配せする。神崎斗真が紬を抱き上げ、つま先立ちのまま静かに機内を出た。

起こさないよう、腰を折った姿勢も崩さな...

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