第26章

新井雪乃の作品が日本画ジュニア部門に選ばれてからというもの、雪乃の母はそれを誇りにして、外では「うっかり口が滑った」みたいな顔で何度も話題にした。

うちの雪乃は有名人。日本美術院だって、当然覚えているはず――そう信じ切っていたのだ。

ところが。

大西先生は、雪乃のことをまるで覚えていなかった。

雪乃の母は顔を真っ赤にし、当の雪乃は子どもらしく堪えきれずに口を挟む。

「大西さん、弟子を取りに来たんじゃないんですか?」

「うん、そうだけど……それが?」

「じゃあ、なんでまだ私を弟子にしてくれないの?」

「…………」

雪乃の母は、途端に居場所がなくなったように笑みを引きつらせた。...

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