第30章

紬はごそごそとビニール袋を一枚取り出した。

それはオウムのフンを入れるための袋だ。ゴミをそこらに捨てるわけにもいかないから、いつもバッグの中に忍ばせてある。

女の幽霊が口元をひくつかせる。

「……まさか、これに憑けって言うんじゃないでしょうね」

冗談じゃない。惨めにもほどがある。自分が“フン袋”担当になるなんて。

紬は袋をぱたぱたと振ってみせた。

「だいじょうぶ、だいじょうぶ。ぜんぜん汚くないよ」

中に入っているのは鳥のフンが一つだけ。紬はティッシュを一枚、そっと敷いた。

神崎拓海が不思議そうに尋ねる。

「紬、何してるんだ?」

紬は真剣な顔で手を動かしながら、さらっと言っ...

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