第32章

蒼海は咳払いした。

「さっさと女の幽霊を回収しろ。魂移し、覚えてるだろ? 忘れたなら――」

言い終える前に、紬が腕を上げ、小さな手のひらをガラスにぺたりと当てて、くいっと掻くような仕草をした。

ヒュッ――。

女の幽霊は、もう魂のひょうたんの中へ戻っていた。

蒼海は鼻をこすった。

……いったい、どんな子どもなんだよ。

温めたミルクを持ってきた神崎拓海は、ころんと丸いガラスのカップを紬に差し出す。

「ほら、早く飲め」

紬は受け取って、にこっと甘く言った。

「ありがとう、拓海おじさん!」

神崎拓海は照れくさそうに笑う。

子どもは二人いる。けれど一緒に過ごす時間は少なくて、自...

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