第49章

紬は霊香のことを知っても、それが「出た時点で詰み」だとは分かっていなかった。

蒼海の言葉――霊香が燃え尽きたら、人は死ぬ。

それだけが耳に残っていて、紬は一気に顔色を変える。

「はやく! はやくして!」

秋山凪の頭上の一本が燃え切る前に、どうにかして凪を連れ戻したい。紬は大人たちをせかし続けた。

鉄製の器と供養用の紙なら話は早い。神崎家では年中行事で使うこともあり、家に備えがある。

問題は凪の服だった。

秋山紀子がはっとして言った。

「車に……凪のシャツが一枚ある!」

そう言うなり、紀子は玄関を飛び出して取りに行く。

ようやく必要なものが揃うと、紬は鉄製の器の中で供養用の...

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