第68章

神崎旭の顔のすぐ前で、きらりとしたよだれが今にも垂れそうになった。旭は露骨に顔をしかめる。

「礼なんかいい。ほら、さっさと食え」

小さな男の子は、いかにも嫌そうにティッシュを取り、紬の口元を拭いてやった。

別に甘やかしてるわけじゃない。こんな大きいのに、妹がよだれ垂らしてるところを他人に見られたら――

自分のメンツが潰れる。

紬は「あむあむ」と勢いよく食べ始めた。

旭はいつの間にか“世話役”みたいになっていて、エビを湯にくぐらせてやったり、殻を剥いてやったり。自分はほとんど口にしていない。

紬は食べながら、もごもごと口を動かす。

「おにいちゃん、たべ――」

「いいからお前は...

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