第71章

紬はとにかく力が強い。神崎旭の手を引っ張って、ものすごい勢いで駆けていく。

空には相変わらず強い日差しが照りつけている。ところが、学校の林は木々が低いどころか、枝と葉が幾重にも重なり、濃い木陰が空を覆うほどだった。

神崎旭が林に足を踏み入れた瞬間、少し先に雪乃がうつむいて立っているのが見えた。背中を丸め、両腕はだらりと垂れている。

旭が入ってきたのを感じたのか、雪乃はゆっくり顔を上げ――まっすぐ、こちらを見た。

その視線を受けた途端、神崎旭は背筋がぞわっとして、心がぱっくり割れた気がした。

紬が振り返る。

「お兄ちゃん、こわい? だったら先に戻ってていいよ!」

逃げたい気持ちで...

ログインして続きを読む