第5章
頭上から降ってきた声は、低く、ざらついていた。
リアムの、あのねっとりした少年声じゃない。
全身の血が、その瞬間、凍りついた。
カレブだ。
私ははっと目を見開く。
窓の外から差し込む弱い月明かりで、ようやく間近にある男の顔が見えた。輪郭の鋭い、獣みたいな横顔。
……こいつ、私のベッドに上がってる。
「安全距離を守れ」だの「触るな」だの散々言ってきた最高階級護衛が、今は餌を取られまいとする野獣みたいに、私を容赦なく押さえつけている。
「カレブ!」
息が詰まる腕の中から無理やり抜け出し、私は睨みつけた。
「越えてる。完全に越えてるから」
ベッドから飛び降りると、胸が上下して...
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