第6章
振り返らなかった。
「ええ」自分でも驚くほど冷えた声で答える。「今日が最後。片をつけなきゃ」
背後が、すうっと死んだように静まり返る。
目を閉じる。胸の奥から込み上げてくる酸っぱく痛いものが、喉元まで押し寄せてきて――それを必死に押し戻した。
私はただ、伴侶が欲しかっただけだ。
深夜に抱きしめてくれて、キスしてくれて、私の生活の隙間を埋めてくれる相手。
なのにカレブがくれたのは何だ? 終わりのない「安全距離」。氷みたいな拒絶。それに今は……いつ暴走してもおかしくない、致命的な危険。
アルファが同じ部屋に二人いれば、いずれ殺し合いになる。
選択肢なんてない。理性は告げてくる――...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
縮小
拡大
