第14章

翌朝。沈村薫子は目を覚ました瞬間、しばらく意識がふわついた。けれどすぐに、自分がいまホテルにいるのだと気づく。

藤原智史はいない。言い争いもない。いるのは、自分ひとりだけ。

その事実に、胸の奥がふっと軽くなった。

起き上がって身支度を整え、寝室のウォークインクローゼットを開ける。すると中には、真新しいレディースウェアがずらりと掛けられていた。着心地のよさそうなルームウェアから、きりっとした通勤用の装いまで一通り揃っている。どれも一流のオーダーブランドで、タグすらまだ外されていない。

ドレッサーの上には、使い慣れた基礎化粧品一式が、新品のままきれいに並べられていた。

テーブルには、湯...

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