第15章

家では自分のことで気を乱していたくせに、こっちでは別の男とコーヒーを飲んで、楽しそうに笑っているのか。

「沈村薫子!」

怒声がひとつ、静まり返っていたラウンジの空気を一瞬で引き裂いた。

周囲で小声に会話していた客たちが、はっと手を止め、一斉に振り向く。

沈村薫子の手の中で、筆先がぴたりと止まった。

反応する間もなく、藤原智史が足早にこちらへやって来る。

藤原智史はそのまま薫子の手首を乱暴に掴んだ。

「お前、ほんと大したもんだな」

歯ぎしりするような声だった。

「俺がお前のために開いた誕生日パーティーで男に色目を使っただけじゃ飽き足らず、今度は家にも帰らずホテルでお泊まりか?...

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