第34章

失血と怒りで紅潮していたはずの顔から、さっと血の気が引いた。紙みたいに、真っ白だ。

「お爺さん! 何考えてんだ!」

藤原智史はどこから湧いたのか分からない力で、ボディガードの拘束を乱暴に振りほどいた。床を転がるようにして前へ這い、必死にすがりつく。

みっともなく顔を上げ、喉を潰す勢いで叫んだ。

「俺にこんなこと、できるわけないだろ!」

藤原智史は、完全に取り乱していた。

CEOの椅子。あれは彼の誇りであり、尊厳であり――T市の上流で威張り散らし、好き放題できる「切り札」そのものだ。

だからこそ、坂原千尋みたいな計算高い女も、尻尾を振って寄ってきた。

もしその椅子を奪われ、藤原...

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