第38章

松野博は、もはや彼女を一瞥する気すらないのか、机上の内線に手を伸ばしてボタンを押した。吐き捨てるような声音は冷え切っていて、人の温度が一欠片もない。

「警備部。二人上げろ。泉原さんをつまみ出せ。不法侵入と営業機密の窃取未遂で告訴する」

間髪入れず、さらに冷たく言い放つ。

「泉原康史にも伝えろ。株価が落ちるのを待ってろ」

三十秒も経たないうちに、黒スーツの屈強な男が四人、無表情のまま雪崩れ込んできた。

泉原佳恵がどれだけ暴れようが、どれだけ金切り声を上げようが関係ない。両腕をがっちり取られ、そのまま廊下へ引きずられていく。

「松野博! あんた頭おかしいんじゃない!? 放しなさい! ...

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