第52章

今後、博グループで打ち合わせがある時も、彼女はもうわざわざ下まで降りてエレベーターに乗る必要はない。最上階の屋上扉を押し開ければいいだけだ。

空中庭園を抜け、さらに階段を一つ下りれば、そのまま松野博のオフィスへ行ける。

オープン当日、アトリエは大賑わいだった。

沈村薫子は気の利く若いアシスタントを一人雇い、二人そろって目が回るほどの忙しさ。水を飲む暇さえない。

それでも、疲れるどころか胸の内は不思議なくらい満たされていた。

これまで築いてきた人脈や古くからの顧客たちが、彼女の独立を聞きつけて次々と駆けつけてくれたのだ。

「沈村さん、おめでとうございます! これから私のオートクチュ...

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