第13章 偽善の母

裏切った使用人に謝罪させる?松本渚の辞書にはそんな言葉はない。

彼女は松本保明の手を振り払い、嘲るように笑った。

「どうしたの?婿入りしてすっかり様変わりして、昔の惨めな姿を忘れたのかしら?」

彼女は執事を見つめ、目の奥の鋭さはさらに増した。

三年前、噂が街中に広がった時、この老いぼれは陰で少なからず波風を立て、間接的に母を今の境遇に追い込んだのだ!

彼らが反応する間もなく、松本渚は前に出て、彼の頬を思い切り平手打ちした。

鮮やかな平手打ちの音が響き、居間にいた全員がその場に凍りついた。今の松本渚がこれほど大胆だとは思わなかったようだ!

松本渚は放埓に笑い、もう片方の頬にも対称...

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