第24章 嫉妬

この言葉を残すと、藤原時は助手に車を出すよう指示し、颯爽と立ち去った。

藤原時はバックミラーに映る足踏みして怒る高橋澪の姿をちらりと見て、密かに口元に笑みを浮かべた。

一方、松本渚はUSBメモリーを手に取りながら、俯いて何かを考え込んでいた。

山崎琛と松本月の婚約パーティーに現れた男たちは雇われた者だった。これが黒幕から彼らへの送金証拠だ。

誰がやったのか予想はついたが、証拠を手にするというのはまた別の話だった。

藤原時は目を伏せ、突然口を開いた。

「あの日、婚約パーティーが始まる前に君に手を出した奴は、松本家の人間か?」

彼がこのことを知っているなんて。

松本渚は即座に警戒...

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