第29章 神秘的な藤原さん

殴られた山崎奥様は明らかに完全に呆然としていて、松本渚を大きく目を見開いて見つめ、一言も発することができなかった。

松本保明は心臓が喉から飛び出しそうになるほど驚き、急いで副局長と一緒に彼女を外に護送した。

藤原時がちょうど追いかけて彼女を引き留めようとしたとき、松本渚がタイミングよく彼を呼び止めた。

「ここは警察署よ。手を出さないで。そうしないと後々面倒なことになるわ」

藤原時はこれまで何の厄介事も恐れたことがなかった。M国では、彼は結果を考慮せずに行動することさえできた。

だから彼はいつも気ままで、何でも思い切ってやってのけた。

しかし、声をかけたのは松本渚だった。彼は唇を曲...

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