第43章 無能な怒り

彼がようやく我に返って問いただそうとした瞬間、松本渚の平手が彼のもう半分の顔にも容赦なく叩き下ろされた。

「この一発は、さっき私に触れたことに対してよ」

「この一発は、生意気な口を叩いたことへの罰ね」

「この一発は、私の機嫌が悪いからよ!」

「手が疼くわ、もっと叩きたいくらいね!」

片方では激しい乱闘が繰り広げられる中、こちらでは山崎琛が容赦なく平手打ちを食らっていた。

彼は頭がクラクラするほど叩かれ、完全に呆然としていた。次々と襲いかかる平手打ちの中で正気に戻る暇もなく、最後には耳元で頬を打つ音しか聞こえなくなった。

ようやく松本渚は手が痺れるほど叩いた後で手を止めた。

彼...

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