第20章 綾辻おばあ様の怒り

「人の道をどう歩むか分からぬと? ちょうどいい! いっそこのまま、アタシが叩き殺してやろう!」

「綾辻千秋、アタシが息子を躾けるのは当たり前のことだ。アンタに何の関係がある? 本当に甲斐性があるなら、こんな恩を仇で返すような娘を育てたりはしないだろうさ!」

この一言は、綾辻千秋はおろか、綾辻華蓮の胸にまでぐさりと突き刺さった。

二人は顔を青くし、半句も言い返せない。

綾辻のおばあ様は歳こそ取ってはいるが、普段から公園で太極拳をしたり、広場でダンスをしたりと、その足腰は健在だ。

その体は、一日中ベッドでスマホをいじっている若者よりもよほど丈夫である。

今、息子を打ち据えるその勇姿は、...

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