第23章 催眠療法

いつから二人は、こんな薄氷を踏むような関係になってしまったのだろうか。

それとも――

綾辻詩織は最初から最後まで演技をしていただけで、馬鹿正直に信じていたのは自分だけだったのか?

葛城彰人の心は瞬く間に冷え沈み、振り返ることなくその場を立ち去った。

綾辻詩織は、そこを離れた後、病院には戻らなかった。

葛城彰人はきっと篠宮おばあさんのそばに付き添っているだろう。もし今そこへ行けば。

篠宮おばあさんが二人が離婚のクーリングオフ期間に入ったと知れば、また卒倒してしまうかもしれない。

彼女は思案の末、やはり療養院へ向かうことにした。

せっかく帰国したのだから、国内にいる唯一の『友人』に...

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