第8章 本当の姿を見せたい

椎名美月は楽屋の鏡に映る自分を見つめながら、首に真珠のネックレスを着けていた。それは十八歳の誕生日に父から贈られた、あの真珠だった。黒のイブニングドレスは彼女の体に完璧にフィットし、優雅さと危険な香りを漂わせている。

水野奈津が彼女の背後に立ち、誇らしげに目を輝かせていた。

「五年の計画、すべてはこの夜のために」

「今夜、浅倉早苗を愛していたと嘯いたあの人たちが、本当はどんな人間だったのか、皆が知ることになるわ」

鏡に映る椎名美月の緑の瞳には、硬い光が宿っていた。

水野奈津は手を伸ばし、椎名美月の金色の髪をそっと撫でた。

「あなたはもう、あの無力な少女じゃない。今夜、本当...

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