第5章

百合子視点

「あのクズども……!」

私は怒りで拳を握りしめた。

「よくも、私のことをあんな風に!」

「心配するな」颯馬は私に優しく声をかけた。「すべて俺が何とかする」

それから一時間、颯馬の電話は鳴りやまなかった。彼はリビングを行ったり来たりしながら、弁護士、メディアコンサルタント、私立探偵、ビジネスパートナーといった様々な人物とひっきりなしに話し続けている。その低く、決意に満ちた声で指示を飛ばしているのが聞こえた。

「ええ、今すぐそれを公開してください」「そうだ、高峰恭平に関するあらゆるスキャンダルを全部まとめてくれ」「あの記者たちに連絡を。奴らにとっておきの独占スクープが...

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