第6章

百合子視点

「あなたがイリスだってことは、分かってるわ」

心臓が胸から張り裂けそうなほど高鳴っていた。

「どうやって絵美里に取り憑いたの? 彼女に何をしたの?」

イリスは猫をかぶるのをやめ、優雅に髪をかきあげた。

「絵美里はね、恭平のことがずっと好きだったのよ、知ってた?」

彼女は一呼吸置き、その瞳に邪悪な光を宿した。

「恭平が『私たち』にプロポーズするのを見て、嫉妬に狂ってしまったの」

(絵美里、この馬鹿……なんてことをしてくれたの!)

「彼女に何をしたの?」

私の声は怒りで震えていた。

「ただ……彼女が望んだものをあげただけよ」イリスは肩をすくめた。「恭平を...

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