第9章

百合子視点

三ヶ月後、永都市裁判所。私は黒のアルマーニスーツに身を包み、証言台に座っていた。颯馬がなぜ死んだのかを皆に思い出させるため、あえて喪服の色を選んだのだ。

(このクズどもが。今になって同情的なふりをして)

厳粛な法廷は、記者と傍聴人で埋め尽くされ、カメラのフラッシュが絶え間なく焚かれていた。私の視線は、被告人席に座る、かつてあれほど傲慢だった高峰恭平に注がれていた。

(なんて様だ、今のあんたは)

恭平の姿は、まるで精神病院から抜け出してきた患者のようだった。髪は脂ぎって乱れ、髭も剃られておらず、目は虚ろで、薬物でもやっているかのようだ。オレンジ色の囚人服を着て、手...

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