第109章 丸井嘉年の素性

激しい衝突音の直後、車内の男は血だまりの中に崩れ落ちた。

残っていた数名のレーサーは、それを見た瞬間に顔面蒼白で震えだす。誰ひとり、もう半歩も前へ出ようとしない。次々と減速し、距離を取って避けた。

その隙を突き、月岡古雅が一気に抜き去る。月岡星也のマシンに並び、真横へ。

月岡古雅は口元をつり上げ、窓を降ろした。

「兄さん、やるじゃん」

月岡星也はちらりと古雅を見て、軽く笑う。

「さっきマシンが不調じゃなけりゃ、あんな連中、最初から追いつけねぇよ。……それより古雅ちゃん。まさか、ここまでついてくるとはな」

月岡古雅は笑うだけで、何も言わない。

視線が交わった、次の瞬間。

二人...

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