第99章 お願い

柏木弘安は、どうにも腑に落ちず、方々に手を回して探らせた。

だが、掴めたのはたった一つ。

七瀬崚介という馬鹿が、また月岡古雅の宴席で恥をさらした——その直後、自分が通報されたという事実だけだった。

誰がやったかなど、言うまでもない。

月岡古雅と柊木禅司など、指先ひとつで潰せる蟻だと思っていた。

だが、想定外だった。

いま蟻の立場にいるのは、自分のほうだ。

取り返しのつかない結果が、何度も何度も理性を殴りつける。

柏木弘安は秘書に命じて月岡古雅の番号を突き止めさせ、逡巡の末に発信した。

呼び出し音。繋がる。

受話口から届いたのは、澄みきって冷えた声。

「柏木社長」

柏木...

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