第10章 厄介ごとに巻き込まれる

現場は一瞬で地獄絵図になった。だが相沢千夏の反応だけは、異様なほど速い。最初の銃声が弾けた、その刹那——身体が勝手に動いた。横へ飛び、地面を転がり、バイクの陰へ滑り込む。

心臓はばくばくと暴れているのに、頭だけが冴えきっている。

狙いは明らかだった。自分だ。

「早く、隠れて!」

巻き添えを恐れ、千夏は地面にへたり込んだまま震える小林瑛太へ叫んだ。

だが瑛太は腰が抜けたように動けない。言葉も届かない。ただ、歯を鳴らしてがたがたと震え続ける。

幸運にも、銃声はそこでぴたりと止んだ。しゅる、しゅる……と乾いた衣擦れの音だけが残り、足音が遠ざかっていく。襲撃者は逃げたらしい。

ほどなく...

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