第12章 金はどこに使った

相沢千夏はその言葉を聞き、心の中で思わず冷笑した。

氷川家の大小の用事に、彼女が口を出せるはずもない。そもそも氷川家の誰ひとりとして、彼女を「氷川グループ社長夫人」として本気で認めてなどいなかった。氷川の母が大金を払って雇った“道具”――それが相沢千夏の立場だ。

結婚式すらなかった。二人の結婚写真だって加工でそれっぽく見せただけ。K市の人間なら誰でも知っている。氷川隼人が妻を愛していないことくらい。

それなのに、よくもそんなことが言えるものだ。

「私は氷川家では、ただの空気みたいな存在です。あなたたちが何を話してるかも知らないし、どんな事業があるのかもわからない。名家同士のいざこざに...

ログインして続きを読む