第15章 うちの奥様

小林華絵は一瞬きょとんとし、すぐにふふっと笑ってこくりとうなずいた。声音は甘えた調子で、どこか拗ねた響きが混じる。

「ちゃんと食べてるよ。最近は公演の準備で、練習がちょっとハードだっただけ」

さらに身を寄せ、期待に濡れた目を向ける。

「隼人、あとで一緒に踊らない? 昔みたいに」

氷川隼人は少し黙ってから言った。

「疲れて見える。休んだほうがいい」

その言葉に、小林華絵の笑みがぴたりと固まる。

唇を結び、何か言い返したいのに言葉が見つからない。空気だけが微妙に揺れた。

氷川隼人の胸にも、言いようのない鬱陶しさが溜まる。

「行くぞ。外まで一緒に出る」

「……うん」

ホールに...

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