第15章 うちの奥様
小林華絵は一瞬きょとんとし、すぐにふふっと笑ってこくりとうなずいた。声音は甘えた調子で、どこか拗ねた響きが混じる。
「ちゃんと食べてるよ。最近は公演の準備で、練習がちょっとハードだっただけ」
さらに身を寄せ、期待に濡れた目を向ける。
「隼人、あとで一緒に踊らない? 昔みたいに」
氷川隼人は少し黙ってから言った。
「疲れて見える。休んだほうがいい」
その言葉に、小林華絵の笑みがぴたりと固まる。
唇を結び、何か言い返したいのに言葉が見つからない。空気だけが微妙に揺れた。
氷川隼人の胸にも、言いようのない鬱陶しさが溜まる。
「行くぞ。外まで一緒に出る」
「……うん」
ホールに...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章 離婚
2. 第2章 ずいぶん楽しそうだな
3. 第3章 薬を盛られた
4. 第4章 捨てられない責任
5. 第5章 狂った
6. 第6章 調香師
7. 第7章 誰を愛するか
8. 第8章 自業自得
9. 第9章 誰かが撃ってる
10. 第10章 厄介ごとに巻き込まれる
11. 第11章 それすら知らないのか
12. 第12章 金はどこに使った
13. 第13章 怪しい人物
14. 第14章 チャリティパーティー
15. 第15章 うちの奥様
16. 第16章 挑発
17. 第17章 必要なものを取る
18. 第18章 遊園地
19. 第19章 どれだけのこと隠しているの?
20. 第20章 悪意を抱く
21. 第21章 とことん付き合う
22. 第22章 五十億
23. 第23章 野心
24. 第24章 早く元気になってほしい
25. 第25章 もう十分だと言っただろう?
26. 第26章 協力
27. 第27章 手伝ってあげる
28. 第28章 話をはっきりさせる
29. 第29章 もう我慢する必要はない
30. 第30章 残してもいい
31. 第31章 選択
32. 第32章 救えるか?
33. 第33章 氷川家に住み込む
34. 第34章 どう思う?
35. 第35章 シア
36. 第36章 秘密
37. 第37章 私のことは放っておいて
38. 第38章 割り切れない過去
39. 第39章 くそ野郎
40. 第40章 無理強い
41. 第41章 氷川社長の招待
42. 第42章 見知らぬ着信
43. 第43章 共に夕食をとる
44. 第44章 解毒薬
45. 第45章 君を信じている
46. 第46章 どうして君なんだ?
47. 第47章 いずれ始末してやる
48. 第48章 隠し事がバレた
49. 第49章 愚かさ
50. 第50章 権力を取り戻す
51. 第51章 珍しい
52. 第52章 意外
53. 第53章 毒蛇
54. 第54章 お前には資格がない
55. 第55章 夢の中の香り
56. 第56章 変装
57. 第57章 ショートヘアの女
58. 第58章 誘拐
59. 第59章 贖罪
60. 第60章 相沢千夏の身の上
61. 第61章 行方不明
62. 第62章 情報が入った
63. 第63章 女のために
64. 第64章 邪術
65. 第65章 逃走
66. 第66章 君を守れなかった
67. 第67章 遊びたいなら付き合ってやる
68. 第68章 彼女のことしか気にしない
69. 第69章 サイン会
70. 第70章 俺のものは君のものだ
71. 第71章 ひらめき一つ
72. 第73章 彼を失望させなかった
縮小
拡大
