第37章 私のことは放っておいて

氷川隼人は有無を言わせずハンドルを切り返し、車を再び屋敷へ向けた。街灯の光が流れるたび、冷え切った横顔の刃みたいな鋭さが際立つ。

小林華絵は俯いたまま、一言も発さない。目尻に残った涙の筋が、さっきの恐怖と惨めさをまだ消してくれなかった。

同じ頃、屋敷では――。

くじを引き終えた連中はほとんど出発していたのに、栗山弥希と酒井陽介だけが、その場に突っ立ったままだった。

何も動かない空気に、見えない綱引きみたいな気まずさだけが漂う。

そこへ、からりとした笑い声。

「なんだよ、これって運命じゃん? 二人で当たるとかさ」

水上湊が歩み寄り、いきなり酒井陽介の肩に腕を回した。誕生日の主役ら...

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