第54章 お前には資格がない

悲鳴を聞きつけたスタッフが、即座に駆けつけた。手には蛇捕り用のトング。迷いなく蛇の頭を押さえ込み、熟練の手つきで顎をこじ開けるようにして、氷川隼人の腕に食い込んだ牙を強引に離させた。

「急げ! 抗蛇毒血清だ!」

専門員が毒蛇を保護ケージへ放り込みながら怒鳴る。

「すぐ病院へ搬送しろ!」

氷川隼人の左腕はすでに腫れはじめ、傷口にはくっきりと二つの牙痕。血に毒液が混じり、じわじわと滲み続けている。

顔色は紙みたいに白い。身体が小刻みに震え、額には冷や汗が浮いていた。

相沢千夏が駆け寄り、彼のそばに膝をつく。目元が一瞬で潤み、泣き声を堪えきれない声で叫んだ。

「氷川隼人! 氷川隼人!...

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