第68章 彼女のことしか気にしない

夜。K市西部の別荘は、まるで昼間みたいに明るかった。

広いリビングではクリスタルのシャンデリアがやわらかな光を落とし、上質なレザーソファが円を描くように並ぶ。ローテーブルには酒とスナックが所狭しと置かれていた。

酒井陽介はラフな格好のまま、だるそうに肩をすくめる。

「こんな時間に呼び出すとか、ほんといい度胸してんな」

氷川隼人がじろりと睨み返した。

そこへ水上湊とエミヤもやって来る。エミヤは黒のキャミワンピにベージュのトレンチを羽織り、サングラスで顔の半分を隠していた。水上湊の腕に軽く絡み、口元だけで薄く笑う。

水上湊は高そうな赤ワインを一本、ぽんとテーブルに置き、口笛を吹いた。...

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