第108章

「ご安心ください、すぐに下で万全の手配をいたします」

…………

水原花子が階下で三十分ほど待っていると、古田部長のオフィスへ案内された。

古田部長はお茶を一杯注いでくれ、二人が腰を下ろしたところで、突然電話が鳴った。

電話を切ると、申し訳なさそうに言った。「水原さん、工事部の方で少し急ぎの用事ができまして、もう少しここでお待ちいただけますか」

水原花子は仕方なくうなずいた。

さらに二十分以上待たされ、時計を見ると五時半近くになっていた。彼女は内心苛立ちを覚え、今日もまた帰りが遅くなりそうだと思った。

西村達也にまた疑われないよう、自ら彼に電話をかけた。「今日はとても遅くなりそう...

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