第116章

「……」

水原花子はまだ少し眠気があったが、小林に言われて、鳥肌が立つほど驚いた。

自分が西村達也の可愛い宝物だなんて、死んでも信じられないわ。

でも、彼が自分を気にかけてくれているということは、信じられた。

誰かに気にかけてもらえる温かさが、心に染みた。

小林が言い添えた。

「でも次は帰らない時は西村さんに言っておいてね。男の人はつい余計なことを考えちゃうものだから」

「うん」水原花子は複雑な心境で頷いた。

昨日はまた水原香織にやられるところだった。これからは常に警戒しなければ。いつも誰かが助けに来てくれるとは限らないのだから。

ただ、あのデザイン原稿が...

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